はじめに:クラウド型在庫管理システムの導入が進む理由
近年、在庫管理の業務効率化やDX化を進める中で、クラウド型の在庫管理システムを導入する企業が急増しています。クラウド型在庫管理システムとは、インターネット経由で利用できる在庫管理ツールで、初期費用が抑えられ、複数拠点・リモートアクセスにも対応できるのが特徴です。
しかし、便利なクラウド型システムも「導入すれば必ず成功する」とは限りません。
自社に合わないシステムを選んだり、運用ルールが不十分なまま導入したりすると、かえって業務効率が悪化するケースもあります。
この記事では、クラウド型在庫管理システムを導入する際の注意点を7つの視点から解説し、導入を成功に導くためのヒントをご紹介します。
1. クラウド型在庫管理システムとは?
クラウド型とオンプレミス型の違い
項目 | クラウド型 | オンプレミス型 |
---|---|---|
導入費用 | 月額課金・安価 | 高額な初期費用 |
利用開始までの期間 | 即日~数日 | 数週間~数ヶ月 |
メンテナンス | ベンダーが実施 | 自社で管理が必要 |
リモート対応 | ◎(どこからでもアクセス可) | △(VPNなどが必要) |
クラウド型在庫管理システムは、スピード重視・コスト重視の中小企業に特に人気です。
導入ハードルが低く、業務をすばやくシステム化できる一方で、「運用の準備不足」がトラブルの元になりやすい点も注意が必要です。
2. 注意点①:自社の業務フローとシステム機能が合っているか?
導入前に「現場ヒアリング」が必須
クラウド型在庫管理システムの導入で最も多い失敗が、「機能は充実しているけど、現場の業務と合っていない」というケースです。
例えば…
- 商品のロット管理が必要なのに、ロット別管理機能がない
- 倉庫内のロケーション管理が細かく必要なのに、登録が制限されている
- 出荷指示のフローが、現場で運用できる設計になっていない
対策:
- 導入前に現場の業務フローを書き出す
- システム提供会社に、自社フローに対応できるか確認する
- 無料トライアルで実際に操作してみる
3. 注意点②:バーコード・ハンディ端末との連携可否
在庫管理を効率化する上で、バーコードによる入出庫・棚卸作業は必須です。
しかし、クラウド型在庫管理システムの中には、バーコード機能がオプションだったり、ハンディ端末に対応していないものもあります。
チェックポイント:
- スマホやタブレットにバーコードリーダー機能が搭載されているか
- ハンディ端末とのリアルタイム連携が可能か
- JANコード、QRコード、独自コードへの対応状況
対策:
- 倉庫業務を効率化したい場合は、バーコード機能が標準搭載されているシステムを選ぶこと
4. 注意点③:通信障害・サーバートラブルへの対策は万全か?
クラウド型在庫管理システムは、インターネット通信が前提です。
そのため、Wi-Fiやモバイル回線が切れた瞬間に在庫確認ができなくなる可能性があります。
また、サーバー側のトラブルで一時的に全システムが使えなくなるリスクもあります。
対策:
- 万が一の通信障害に備えたオフライン機能の有無を確認
- システム会社の稼働率実績(99.9%以上が理想)をチェック
- 作業指示書を紙で出力できる仕組みを残しておく
5. 注意点④:他システム(POS/EC/会計)との連携性
在庫管理システムは、POSレジ・ECカート・会計ソフトなどと連携することで、二重入力や在庫のズレを防ぐことができます。
しかし、クラウド型在庫管理システムによっては、連携可能なサービスが限られていることもあります。
よく連携されるツール例:
- ECサイト:Shopify、BASE、楽天市場、Amazon
- POS:スマレジ、Airレジ
- 会計ソフト:freee、マネーフォワード、弥生会計
対策:
- 連携したいサービスとのAPI接続が可能かどうかを事前に確認
- 連携実績があるか、過去の導入事例を調べておく
6. 注意点⑤:セキュリティと情報管理体制
クラウド型サービスで重要なのが、データの安全性とユーザー管理です。
在庫情報は会社の資産であり、外部に漏洩すれば経営リスクや顧客からの信頼失墜にもつながる恐れがあります。
チェックすべきポイント:
- データ通信の暗号化(SSL/TLS)
- ID/パスワードによる権限管理
- 操作履歴の記録(ログ機能)
- 多要素認証対応の有無
対策:
- セキュリティ対策が明示されているベンダーを選ぶ
- 社内でも定期的にパスワード変更を行う運用ルールを整備
7. 注意点⑥:料金体系と契約条件を正しく把握する
クラウド型在庫管理システムの料金は月額制(サブスクリプション)が基本ですが、
オプション費用や初期設定費、サポート費が別途発生することもあります。
よくある注意点:
- 月額3,000円と書かれていても、ユーザー追加で倍額になる
- 1年契約の自動更新で、途中解約に違約金がかかる
- データエクスポート機能が有料オプションになっている
対策:
- 総額でいくらかかるか?年間コストで試算しておく
- 導入前に契約書・利用規約をしっかり確認する
8. 注意点⑦:社内教育と運用ルールが不十分だと逆効果に
システムを導入しても、現場がその操作方法を理解していなければ、現場は混乱し、誤操作が多発します。
また、データ入力ルール(単位・表記ゆれ・記録方法など)が定まっていないと、
せっかくのシステムも「ゴミデータの山」になる可能性があります。
対策:
- 導入時に現場スタッフへの教育・研修時間を設ける
- 商品登録や棚卸方法など、統一ルールを文書化して共有
- 初期は簡易運用から始めて、徐々に機能を拡張する
9. まとめ|「導入してから」が本番。クラウド在庫管理は運用設計がカギ!
クラウド型在庫管理システムは、安価かつスピーディに導入できる優れたツールです。
しかし、「自社に合ったシステムか?」「使いこなせる運用体制があるか?」が導入成功のカギとなります。
特に在庫管理は、日々の業務に深く関わるため、システムだけでなく、人・業務・教育・運用ルールの設計まで含めて検討する必要があります。
コウガシステムでは、無料のトライアル期間を設けた在庫管理システムをご提供しています。
在庫管理システムの導入をお考えの際にはぜひ、コウガシステムの在庫管理システムをご検討ください。