アパレル業界においての在庫管理とは、極めて重要な業務の一つに位置付けられます。
適正な在庫数を保つことが出来ないと、経営が傾く要因になり、果ては破綻するほどの損失を招くことにもなりかねないからです。
取扱いをするアイテム数が多く、その時の流行や季節によって商品構成が変動することが多々あるうえに、通常商品とセール品などといった商品区分によって在庫期間が異なる等の特徴があります。
今回はアパレル業における在庫管理の特徴を整理し、適切かつ効果的な在庫管理の方法をご紹介いたします。
アパレル業界の動向とは
アパレル業界というのは、常に競争が激しいものです。
さらに近年も大きく変化をしている業界です。
これまでのアパレル業界は、生産、流通、販売といった区分けが明確にされていました。
しかし、現在では生産から販売までを一社で行うナショナルブランドや、海外の大手ブランドも日本に進出をしていることで、生産、流通、販売といった区分けが失われつつあります。
そのような事情もあり、地方都市にはシャッター商店街がどんどん増え、勝ち組と負け組が際立つ業界になっています。
また、余剰在庫の処分や中古衣類の販売を専門とするアウトレットストアが見られるようになりました。
これもかつては数が少ない業態でしかありませんでした。
しかし、現在では当初からアウトレットストア向けに製品開発・販売をすることもあるようです。
アパレル業界の在庫管理が難しいとされる理由
アパレル業界で行われる在庫管理というのは、他の業界と比較しても特段難しいとされています。
ここからはその理由を詳しく解説いたします。
商品のライフサイクルの短さ
アパレル業界では、トレンドの移り変わりや季節商品などが存在することで、該当する商品には短期間での販売が求められます。
アパレル業界でいう在庫は「生もの」に例えられ、そのシーズンで売り切ることをしなければ価値が下がり、シーズンの後半に入ってしまうと、割引や値下げといったような「在庫処分」をしなければ利益を得るどころか、売り切ることすらも難しくなってしまいます。
そうなってしまうと、本来得られた利益どころか、せっかくお金をかけて入荷したものなのに「お金を出して処分しなければいけない」といったことにもなりかねません。
そうならない為にも、在庫は適正に売りさばいて行く必要があります。
返品やアウトレットでの処分が行えてしまう
古い取引慣行が根強く残っているアパレル業界も少なくはないと思います。
例えば返品制度もその代表で、百貨店などの小売り側が在庫リスクを抱えないようにする為の制度です。
その他にも、売れ残った商品はアウトレット店に回すことで、値下げして販売をするといったこともあります。
これらの方法は一見すると在庫を処分できているので「良いことなのでは」と思ってしまいそうにありますが、店舗のスタッフ間や責任者の間には「適正在庫を保つ」＝「売れる物を仕入れ、売れづらいものの仕入れは量を抑える」といった意識の欠如に直結します。
需要予測の難しさ
店頭販売をしているアパレル店の場合、駅前やファッションビル、デパートといったように店舗の立地によって需要のある商品というものが異なってきます。
ある店舗では売り切れ続出で仕入れたくても仕入れられないほどの商品であっても、店舗の場所や条件が変わればその商品は余っている、といったようなこともありがちです。
特に全国展開を行っているようなお店ならなおさら、北海道から沖縄県まで同じシーズンだったとしても気温差も大きく、売れる商品や回転率の良い商品というのも全く異なってきます。
その他にも、異常気象やSNSなどの影響で、急に人気が出てしまう商品もあり、アパレルの需要予測はとても難しいものとなっています。
こういった状況では在庫をどの程度確保して、どのように回し、どう売っていくかというのも難しい作業になります。
欠品となってしまわないよう、多くし入れ過ぎたりした場合に引き起こされるのが過剰在庫です。
商品の種類が多いことが原因となる検品ミス
近年、特に顧客の嗜好は多様化していて、商品カテゴリも非常に多くなっています。
サイズや色、形や種類によっても分類され、結果として膨大なアイテム数となってしまいます。
また季節の移り変わりとともに入れ替わる商品ラインナップや、ファストファッションに代表されるような「流行」による商品寿命が短いことも、アイテム数が増えてしまう要因となってしまっていて、在庫管理を難しくしてしまっています。
さらに衣料品はサイズや形が微妙に異なっていることで、目視による検品をしている場合はミスの増加に繋がります。
小さなミスの積み重ねによる影響で在庫の過不足が起こると、適正な在庫を保てなくなります。
在庫管理システムで適正な在庫運用を
やはり目指すべき所は、可能な限り多くの商品を定価で販売する、という点。
その為にはシーズンのピークには在庫が潤沢にあり、かつ過剰な在庫にならないように適正な在庫を保つことを心がける必要があります。
前述のように過剰在庫は過度な値引きや割引に繋がる為、そういったことを引き起こさない為にも在庫管理システムを活用しましょう。
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