今回は製造業に関わりのある方へ向けた、在庫管理システムのお話しです。
▶製造業が求める在庫管理とは？
在庫管理と一口に言っても、在庫管理にも様々な種類があります。
仮に製造業に携わる方から「在庫管理システムを導入したい」と相談があったとき、どのような在庫管理システムを提案するべきでしょう。
それと言うのも、在庫管理という言葉には「棚卸や入出庫を登録することで、今の在庫を管理する」といった、正確な数値を把握する意味合いもあります。
一方、「需要予測や生産計画を基にした、先々の在庫を最適化する」という意味合いもあります。
製造業が取り扱いを行う在庫には
・資材
・原材料
・製造部品
・仕掛品
・完成品
・保守部品
等、かなり多岐に渡るものとなっています。
常に流動する物であるため、現在の在庫を正確に把握することも、先々の在庫を予測して調整することもかなり難しいものになっています。
そして「販売する為に仕入れた商品や製品で、まだ”現金化”されていないもの」と、「何かしらを生産する為に仕入れた部品や原材料で、まだ”製品化”されていないもの」という2つの意味を持ち合わせています。
この場合の前者は、主に小売業や卸業の扱う在庫を指し、衣類から始まり日用雑貨までも含む、仕入れを行い形を変えずにユーザーに買われるのを待っている商品や製品のことです。
そして後者は、主に製造業が取り扱う在庫かつ、部品や原材料の段階から、最終的な完成品までの製造工程が進むことで種類の増減するといった特徴を持ちます。
いずれにせよ、在庫というものは企業にとっては密接な関係にあり「販売することで現金化される棚卸資産」なのです。
▶在庫管理とは
在庫管理というのは「自社で保管する、在庫数量や場所を管理して維持すること」を指しています。
在庫というのは多すぎても少なすぎても問題がある為、この在庫数量を如何にして過不足なく在庫を確保して、効率的にユーザーへと販売出来るかが企業の売り上げに直結します。
そして、資金繰りやキャッシュフローにおいても大きく影響を及ぼすため、在庫管理を行うには正確性が求められることになります。
例えば、あまりに多くの原材料や部品在庫を抱えてしまうと、売りさばくことが出来ず現金化の出来ない物品があふれることになり、管理コストも大きくのしかかってきます。
また、在庫として持ち合わせる材料によっては、経年劣化すると無駄になってしまう場合もあり、その際は廃棄費用も必要となってしまいます。
逆に無駄な在庫を抱えないようにと仕入れを控えすぎてしまうと、ユーザーからの注文や要望に対して応えることが出来ず、売上が得られません。
その結果、顧客満足度は下がり先々の売り上げを確保することが叶わなくなります。
必要となる量の在庫を、必要な時にすぐ供給できるよう、常に過不足なく維持することで無駄なコストを減らすことが可能になります。
機会損失を防ぎつつ売り上げに繋げる。
これこそが在庫管理の目的であり、在庫管理システムを導入する意味でもあります。
▶製造業が管理する在庫の種類
製造業における在庫というのは、製造工程の中で「部品」「原材料」から「仕掛品」となり、「完成品」が出来上がります。
下記ではそれぞれの在庫としての扱いを簡単に解説します。
▶▶部品/原材料(素材)
部品や原材料というものは、外部の業者から仕入れて、素材として製品を作る際に用いられる在庫です。
鉄材や樹脂材などといった加工しなければ使用出来ない「原材料」の在庫。
ネジやナットのようにそのままですぐに使用出来る一つの製品である「部品」としての在庫があります。
部品や原材料を発注し、納品されるまでの時間や日数を「リードタイム」といいます。
発注のリードタイムに合わせて必要となる量を調達することは、リスク管理の上でも重要となります。
▶▶仕掛品
原材料と部品を加工したり、組み立てをしたりして、最終的な製品を生産します。
しかしその製造途中で販売出来る状態にない在庫のことを「仕掛品」といいます。
例えば、小麦粉という原材料を使用して作られてはいるが、まだ焼かれていないパン生地のようなものが該当します。
また、中間的な生産物としては、製品自体は完成されているものの販売出来ない状態の物を「半製品」といいます。
▶▶完成品/製品
焼き上げられたパンや、組み立てを行ったスマートフォンのように、仕掛品を経て完成となる、ユーザーに販売出来るようになった状態の物を「完成品/製品」といいます。
在庫としての完成品は、自社の工場の中だけに存在するものではなく、小売店に並んだりユーザーに届けられるものというのが、材料や仕掛品との違いです。
▶製造業における在庫管理の流れ
▶▶適正在庫数の設定
製造業における在庫というのは、多すぎてしまうと無駄となり、逆に少なすぎれば製品の欠品に繋がってしまいます。
その為、欠品とならない為に、最小限の在庫数となる「適正在庫数」を設定する必要があります。
適正な在庫数を導出し、その数量を設定する為の理論や考え方は様々あり、業種や企業の提供するものによって向き不向きがあるので、これが正解といった画一的なものがあるわけではありません。
ですが、どの場合にも共通して言えるのが、適正な在庫数を設定するには、まずは自社の売上高や商品在庫の回転率、各リードタイムといった数字をそれぞれ正確に把握をしておくことが必要となります。
▶▶在庫数を可視化する
過去これまでに記録されてきた在庫数や、入出庫履歴から得られるデータで作られるグラフで、各商品ごとの在庫数推移を可視化するということは、在庫管理作業を効率化していく上で最も重要になってきます。
在庫の動きを可視化しておくことで、過剰にある在庫や、在庫の欠品といった問題を従来と比較しても容易に発見することが可能になります。
そうすることで、在庫計画を改善するスピードを上げることができ、可視化されたデータであれば簡単に部署間で情報の共有をすることも可能です。
それは取り扱い商品の販売需要や、生産状況の変化というものを調達チームがスムーズに把握できれば、その変化に応じた”いま現在”の最適な数を仕入れられるようになります。
いつ、なにを、どのくらい入荷すれば、どの程度の出荷を行うかなど、在庫計画を可視化することも可能になります。
その在庫計画を可視化する方法の一つが在庫管理システムでもあるのです。
▶▶在庫数に応じた対応
このように、適正な在庫数には”これ”といった明確な答えがないということが、在庫管理の難易度を各段に上げてしまっています。
在庫管理を最適化させる為には、常に変動する製品需要、部品や原材料の供給量といったことまでもを全て含めて、全体の状況に応じたオペレーションが必要になります。
これらは単に現場での業務プロセスを改善するといったことだけではなく、商品在庫とキャッシュ双方の流れ全体を俯瞰した全社的なものであるべきです。
なぜなら各担当者に任せきった現場単位の取り組みでは、十分な課題を発見して解決に導く事までは出来ないのです。
例えば、在庫管理サポートするようなツールを導入したとしても、担当者がそれぞれの在庫管理計画を立てる、その為だけに使用してしまってるとします。
そうすると、販売担当者は機会損失を避ける為に、多めの在庫計画を立てるようになってしまいます。
次にその在庫計画に沿って生産担当者は、予備を含め在庫計画＋αで生産計画を立てます。
そして同じように調達担当者も多くの在庫を仕入れます。
こうしたプロセスを経て過剰在庫が発生してしまうことが多々あります。
しかし、これらの事態は、全体を把握して適切な在庫管理さえ行えていれば防げることなのです。
データの可視化というのは、こういった事態を避ける為に、共有をして販売・調達・生産そして在庫の各セクションの状況を把握してバランスを取ることに役立ちます。
在庫管理システムを導入することで小さな無駄から省きつつ、大きな無駄に繋がることを防ぐことが可能になります。
そうしたことからも、在庫管理システムの導入というのは最適解の一つなのです。
▶製造業が抱える課題を解決する在庫管理システム
製造業の多くは解決しなければいけない大きな課題を2つ抱えていることがほとんどです。
▶▶長期化する調達リードタイム
製造業の在庫管理を考えるうえで大切なのが、製造開始から製造完了までの工程が全て完了するまでに要する時間。
いわゆるリードタイムです。
そのなかでも、製品を生産する際に使用する原材料や部品・部材を外部へと発注し、納品から検査までの時間を必要とする”調達リードタイム”は、製造業の在庫量に対して最も大きな影響を及ぼすものとなっています。
この“調達リードタイム”が長期化するということで、自社納期も長くなってしまい、販売ロスが増える可能性もあります。
▶▶過剰在庫からならキャッシュフローの悪化
在庫というのは未現金化の資産です。
その為、在庫は製品として販売し現金化しなければ、動かすことも運用することも出来ないお金ということになります。
「キャッシュフロー」の管理というのは、実際の現金の流れを考える経営においては非常に重要なものとなっています。
例えば、自由に動かせる1000万円の現金を所持していることと、1000万円の売る事しか出来ない棚卸資産を所持している、ということでは大きな違いがあります。
現金化が出来ていない過剰在庫を抱えたままでいると、キャッシュフローは悪化していきます。
販売数の減少が続くなか、同量の仕入れを継続してしまっていると必要な時に使用出来るお金がどんどん少なくなってしまいます。
▶在庫管理の最適化を行うべき製造業
製造業という業種は「素材を仕入れて」から「製品を製造する」という事業です。
その性質から、製造業特有の在庫管理においての課題が様々あることがお分かりいただけたかと思います。
そんな製造業向けの課題を解決する方法としてのご提案が在庫管理システムです。
▶▶在庫管理システムの導入運用
在庫管理システムを導入することで、必要となる素材それぞれの必要量を管理。
それらを社全体で共有しつつ、過剰な在庫が発生しないようにする。
そうすることで現金の流れを最適化し、必要な時に必要なお金を必要な分運用可能となります。
また、製造し現金化を待つ在庫の管理も簡単となるといったメリットもあります。
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